
Part03 相続対策について
遺産分割対策
☆大切なご家族が争うことがないよう、遺産の分割方法を考えておきましょう

じたくは家族が住んでいるため手放すわけにはいきませんので、長男は自分の預金を取り崩して二男に支払うことになってしまいました。

仲の良い兄弟でも引き継ぐ財産の不公平感が大きいと相続争いになることがあります。子供のころの兄弟げんかと違い、お互いが権利を主張しあうのでなかなか収まらず、最悪の場合、兄弟絶縁にまでなりかねません。また、親の想いと子の思いは、必ずしも同じではありません。遺産をめぐってご家族が争うことのないよう、遺言の準備や遺産分割に備えた対策が必要です。円満な相続のためにも、生前に、関係する人たちの間で話し合う機会をもつことも大切です。

遺産分割を考えるには、まず、ご自身の財産を把握することから始めましょう。
そのうえで、誰にどの財産を残したいかきめましょう。
「誰にどんな財産をのこしたいか」を整理した結果、必要があれば、ご自身の想いを形にする方法として、「遺言」を作成します。一般的な遺言には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つの方法があります。なお、遺言を作成する際には、遺留分に配慮しておくことが大切です。

不動産のように相続人の間で分けにくい財産の占める割合が大きいと遺産分割でもめる原因となります。
所有する価値の低い不動産は、生前に売却し、分けやすい金融資産にしておくことも対策の一つです

相続人の間で引き継ぐ財産の差があまりにも大きいと、相続争いになる可能性が高まります。
この不公平を解消するための方法として、「代償分割」という方法があります。代償分割とは、相続財産を多く引き継いだ相続人が自分の財産から他の相続人に金銭などを渡す方法です。

生命保険は、亡くなった方の財産ではなく、受取人固有の財産となるため、遺産分割を行う必要はありません。
契約の際に受取人を指定する生命保険なら、のこしたい人に確実に残すことができます。
相続税対策1 〜納税資金の準備〜
☆のこされたご家族が困らないよう、納税資金を準備しておきましょう

相続税の納税資金に充てるため、相続した土地の一部を売却しようとしましたが、立地条件が悪いなどの理由によりなかなか買い手が見つかりませんでした。
そうこうしているうちに相続税の納付期限が迫ってきてしまい、やむを得ず、価格を下げて土地を売却することになりました。

相続税は、相続発生後10カ月以内に、原則、現金で一括納付をしなければなりません。現金で一括納付できない場合には、延納や物納をすることもできますが、延納は利子税の負担が生じますし、物納は要件が厳しいです。
そのため、事前に、相続税がどれぐらいかかりそうか、また、納税資金が確保できそうか確認しておくことが必要です。のこされたご家族が生活に困ることのないよう、早いうちから計画的に納税資金を準備しましょう。

相続財産のうち換金することが困難な財産(不動産や未上場株式など)の占める割合が大きい場合には、納税資金が不足する場合があります。
そのため、金融資産(預貯金、生命保険など)の比率を高めることが必要です。
ご自身の財産から納税資金がまかなえるかチェックしてみましょう。
財産の仕分けをしましょう
「必ず残したい財産」「売却して納税資金に充当する財産」など、財産を仕分けしましょう。財産を売却する際は、計画的に、時間にゆとりをもって行うほうが希望に見合った価格で取引できる可能性が高まるでしょう。

生命保険は遺産分割の対象とはならず、受取人固有の財産として現金で受け取ることができます。
生命保険を活用すれば、納税によって、大切な財産を手放したり、ご家族の預金を取り崩す心配もいりません。
また、スピーディーな受け取りが可能なところも、生命保険の特長です。

納税資金を準備することもできます
生前贈与を活用することによって、相続税を軽減させながら、納税資金を準備することができます。
相続発生前3年以内の贈与に注意しましょう
相続・遺贈により財産を取得した人に対し、相続発生前3年以内に被相続人から贈与された財産は、相続財産に加算して相続税を計算しなければなりません。相続財産を減らす(相続税を軽減させる)つもりで生前贈与していても、3年以内のものは相続財産に含まれてしまいますので、早めに計画的に贈与するのが望ましいでしょう。
相続・遺贈により財産を取得した人に対し、相続発生前3年以内に被相続人から贈与された財産は、相続財産に加算して相続税を計算しなければなりません。相続財産を減らす(相続税を軽減させる)つもりで生前贈与していても、3年以内のものは相続財産に含まれてしまいますので、早めに計画的に贈与するのが望ましいでしょう。
相続税対策2 〜相続税の負担軽減〜
☆財産を見直して、相続税の負担を軽減させましょう

父の財産は預金、実家の土地・家屋と駐車場として利用している土地でした。預金だけでは相続税をまかないきれなかったため、駐車場を売却して、ようやく納税を終えました。
その後、知人の税理士から話を聞いたり、本で調べてみたところ、もしも父が生前元気なうちから、財産を贈与したり、不動産を有効に活用していれば、もっと相続税の負担を抑えられていたかもしれない、ということがわかりました。

相続税評価額の引下げ対策が必要です!
相続税は、亡くなった方の財産が課税対象です。
生前に、財産を贈与して減らしておく、または、不動産を活用して財産の評価額を下げることによって、相続税の負担は減少します。
ただし、やみくもに行うと、相続争いになる、贈与税の負担が重くなる、賃貸不動産の経営が重荷になる、ということにもなりかねません。そのため、相続税・贈与税の非課税枠を上手く活用することや経営計画を十分に検討することが肝心です。

贈与税には、受贈者(もらった人)ごとに、1年あたり110万円の非課税枠が設けられています。この非課税枠を上手に活用することにより、贈与税の負担なく、財産を移転することができます。
また、贈与の場合、相続と異なり誰にでも財産を渡すことができます。

相続人が受け取る生命保険金は、非課税限度額(500万円×法定相続人の数)まで相続税がかかりません。

土地の評価額を下げることができます
特定の要件を満たせば、自宅の敷地(特定居住用宅地等)の相続税評価額を80%減らすことができます。
また、このほかに、事業に活用していた宅地(特定事業用宅地等)についても、400uまでは相続税評価額を80%減らすことができます(事業が不動産貸付業の場合は50%となります)。
※ただし、この特例を利用するためには、特定の要件などがあります。詳細につきましては、税理士または所轄の税務署にお問い合わせください。

引き下げることができます
相続税を計算するときの評価額は、土地は地価公示価格の8割程度、家屋は建築費の6〜7割程度といわれています。賃貸不動産であれば、さらに評価額が減額されます。ただし、賃貸マンションなどを建設するために借入をする場合、本当に借金をしてまで行うべきなのかはよく検討する必要があります。

二次相続対策
☆のこされた子どもたちが困らないように、二次相続について考えておきましょう
ご夫婦の一方が亡くなったあとの、のこされた配偶者の相続を「二次相続」といいます。二次相続も一次相続と同様に、法定相続人全員で遺産分割の話し合いを行いますが、一次相続と比べ、二次相続の方がもめてしまうケースが少なくありません。
一次相続対策のときに、二次相続も踏まえて遺産分割を検討しておくのがよいでしょう。
また、二次相続では、相続税の優遇規定(配偶者の税額軽減の特例※)が適用できないので、相続財産に対する相続税の負担が重くなることが考えられます。二次相続も見据えて納税資金の準備をしておきましょう。
※配偶者は相続した財産が、配偶者の法定相続分か1億6,000万円のいずれか高い額までは相続税がかかりません。
一次相続対策のときに、二次相続も踏まえて遺産分割を検討しておくのがよいでしょう。
また、二次相続では、相続税の優遇規定(配偶者の税額軽減の特例※)が適用できないので、相続財産に対する相続税の負担が重くなることが考えられます。二次相続も見据えて納税資金の準備をしておきましょう。
※配偶者は相続した財産が、配偶者の法定相続分か1億6,000万円のいずれか高い額までは相続税がかかりません。
せっかくの二次相続対策が水の泡になることも・・・
例えば財産を多く持つ父親が先に亡くなり、その後母親が亡くなることを前提に対策を立てていたところ、実際には財産を持つ父親よりも母親が先に亡くなるというケースも考えられます。その場合、母親が父親から相続する際に利用するはずだった「配偶者の税額軽減の特例」が使えなくなり思わぬ税負担が生じるなど、せっかく考えていた相続プランが台無しになってしまう場合もあります。可能な限り様々なケースを想定した対策を考えておくことが大切です。
例えば財産を多く持つ父親が先に亡くなり、その後母親が亡くなることを前提に対策を立てていたところ、実際には財産を持つ父親よりも母親が先に亡くなるというケースも考えられます。その場合、母親が父親から相続する際に利用するはずだった「配偶者の税額軽減の特例」が使えなくなり思わぬ税負担が生じるなど、せっかく考えていた相続プランが台無しになってしまう場合もあります。可能な限り様々なケースを想定した対策を考えておくことが大切です。